
私は、10年前、初めてセラピーに出会いました。
そのときは、自閉症の女の子に、「大きい、と、小さい」と、「お箸の使い方」をおままごとを通して教えたと思います。当時ボランティアで、なんの知識もなくお手伝いさせていただいていたので、教えるときはとても緊張しました。当時、大学生でした。
センターの職員さんに、「一人の世界に入らせないように一生懸命話しかけてね」と言われ、言われた通り一生懸命話しかけました。
でも、話しかけても、話しかけても無視されるので、空回りの日々が続きましたが、ある日、その子が私によってきて、「おねーたん」と言ってくれました。
今まで、ほとんど話す事もなく、泣いて事を伝えていた子どもが、私の事を認識し、「おねーたん」とよってきてくれ、ちゅー、と(口に...)キスをされたとき、
私は魔法にかかりました。
今考えれば、一生懸命ただ話しかけるだけなんて自閉症の子どもにしてみれば迷惑なアプローチですが、当時の私は努力が報われ、人として自分の人生に「価値」が生まれた感じがしました。
「価値」が生まれた、と思った事には実は理由があります。
(もう少し”私”の話に我慢してくださいね...)
私は小学校のときから、先生に決まって「落ち着きがない」と通知表に書かれていました。
そして、いじめらっ子でした。それは中学を卒業するまでつづきました。
いわゆる、トイレに連れ込まれたり、無視されたり、待ち合わせの時間に行ってもいなかったり、かくれんぼしていてもわざと見つけにきてくれず、気づいたらみんな私をわざと残して家に帰った、などです。
つまり、落ち着きがなく、少し変わっていたのですね。
それに、注意力散漫ということですから、周り十分な注意を払わず、
勉強も遅れ(これは塾に放り込まれて巻き返しましたが、大変でした)忘れ物も多くて。
それに引っ越しも多かったです。
だから、的になったのだと思います。
大人になった今でもいじめは大嫌いです。
特に、いじめられる側にも責任があるのよ、という理論には、納得しません。
理由があるから、いじめる、というのは、どうしても間違っていると思います。
私が高校、大学時代から常に感じ始めたことは、自分が小学生、いや幼稚園生のとき、
先生が一人、たった一人でいいので、「塩田さん、あなたは落ち着きがないけれど、
落ち着きを取り戻せるよう私と一緒に頑張りましょう」と、手取り足取りガイダンスしてくれたら、私の人生は大きくかわっていたのではないだろうか、ということです。
そこで、大学の専攻を心理学、専門を障害児心理学、にしたのです。
私は、あのとき自分に与えられなかったサポートを、未来の子どもたちに与える立場になりたい、と強く願ったからです。
話が長くなりましたが、センターで出会った子どもが、「おねーたん」と言ってくれた瞬間、力は及ばなくとも、その子は世の中には家族の他に、私という味方がいる、と心で感じてくれたような気がしたから「価値」が生まれたように感じたのだと思います。
それから、10年、アメリカに渡って6年、大学院在学中も「自閉症」の子どもを教え続け、アメリカで応用行動分析をスーパーバイザーに手取り足取り教えてもらい、大きなショックを受けました。
私の知っているセラピーと、アメリカのセラピーが格別に違うものでした。
日本のセラピーのすばらしいところは、セラピストや先生、保護者の方の誠実さ、だと思います。
アメリカのすばらしいところは、スキル、だと思います。
その両方がミックスされれば、日本人は素晴らしいセラピストになるのではないか、と大きな期待が膨らんでやみません。
長年やってきて感じることですが、自閉症教育にこれじゃなければいけないと言うものはないと思います。
セラピーを続けて行くにあたり、セラピストはきちんとその個性を見分ける必要が有ります。例えば、もし私のやり方がお子さんの現在の状況に合わない場合は、ほかのやりかたを探し出す必要があります。
ですので、私のサービスを受けられる方は、こんなやり方もあるんだと、心を広くし、色々な物を受け入れる心の準備が整っている方に限定させていただきます。
私はここで、やり方はこれしかない、私のやり方でしか子どもは伸びない、などと言うつもりは全くありません。
大切なので繰り返しますが、ひとつのやり方として、受け取ってください。
この通りにしなくても、そして何かの都合で思うようにできなそうでも、とにかく知識として蓄えてください。
それが、絶対に将来役にたちます。
最後に、ここまでお時間を割いていただき、お読みいただきました事に心より感謝いたします。
この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。
私の経験、サポートが皆様の発達に遅れのある子どもの教育、またはそのご家族の皆様、更にはコミュニティーの皆様にお役に立てますことをお祈り申し上げます。
塩田 玲子
自閉症の子どもをどうやって教えるか
セラピーをしてください、と頼まれた、もしくは自分が親で、いざセラピーをして見ようと思った。
そんな時、あなたはどこから手をつけていいのかわかりますか?
わかる方はこの章を飛ばして、実際のカリキュラムのページをお読みください。
この章では、実際セラピーをはじめるにあったって、まず子どもの状態を知る方法を説明しています。子どもの状態知らずして、セラピーカリキュラムを立てることは不可能です。
でも、きちんとしたセラピストのトレーニングを受けていないと、いったいどこで、何を聞けばいいのかわからず、的外れなセラピーをしてしまいます。
はじめに正確な情報を入手し、子どもの状態にあったカリキュラムを立てるために、ここで説明することはとても重要になります。
そして、その情報を元に、セラピーをしながらあなたなりの調整を加えていきます。
私も、ボストンで、今でも少なくとも年間1〜2人日本人の方からセラピーの依頼を受けます。
たいてい電話がかかってくるのですが、そのとき私がまず聞くことは、
お子さんの名前
年齢
学校に通っているかどうか
どこの学校に通っているか
子どもの状態はどんな感じか
その状態から、さらに詳しく、言語、社会性、
学校の先生のコメント
学校からはどんなサポートが得られているのか
学校での様子
IEPは次いつなのか
などをどんどん聞いていきます。そこで、私がお手伝いできそうであれば、是非実際にお子さんとそのご家族に会う約束をします。
子どもとの面会は、通常お母さんも同席で行われます。
そこでは、改めて子どもの様子をお母さんから聞きますが、具体的には、言葉は何が言えるのか。(例:数を3まで数えることができる。赤、青がいえるが黄色はあいまい。自分の名前は言える、など)
言葉は自分から出るのか(表出)、それとも、質問に答える形式の会話なのか(受容)
自分から出る言葉は何か?
答えられる質問とは何か?
文章で会話をするのか?欲しい物の名前を言うなど、単語、単語の表出か?
お友達とのかかわりはどうか?一人で遊ぶほうがすきなのか。
手先を動かした遊びはどんなことをするか?(例:物を人差し指と親指でつまめる、など)
体を動かした遊びは?(例:ボールの上に座って跳ねられる、など)
好きなこと
嫌いなこと
どんなときにパニックになりやすいか?
一日の生活パターン
セラピーにあたり、お母さんの希望があれば、それも聞いておく。
一通りお話を聞いた後、お母さんの助けもかりて、実際に1時間ほど子どもとかかわってきます。この1時間はセラピーというよりも、子どもの様子を把握するためのアセスメントの時間です。私は、この時いつも沢山知育玩具をもって伺います。
それをひとつひとつ出して、「こうしてみて?」などと語りかけながら、玩具で遊ばせ、その遊び方を観察します。
例えば、アメリカには色別にグループ分けして遊ぶおもちゃがあります。これは私には必需品です。これを使って、「何色?」と聞いて、答えが返ってくるか、もしくは、赤は赤、青は青と、指示に従って区分けできるのか見ます。
そのほか、体の部位を差し込んでいくおもちゃを使い、体の部位がわかっているのか確認したり、パズルを使って指先の動きと、集中力、柔軟性を見ていきます。
そして、大切なのは、このような遊びの間に、大きなボールの上に座らせてあげてボールをバウンスしたり、こちょこちょしたり、とにかく子どもがゲラゲラ笑うほど大好きなことも沢山します。
これであなたは子どものハートをつかむのです。
これがないと、子どもは、「何この人、つまんない」と子どもはあなたのことを誤解してしまうかもしれません。
まずは、沢山遊んで、楽しい遊び相手として子どもの心をしっかりつかみ、セラピーはそれからです。そのためにもこの初めての面会は沢山楽しいことをしましょう。
こうして子どもざっとかかわりながら、うっすらと頭の中でこんな教材がこの子にはあっていそうだな、こんなことしたらいいんじゃないか、などと想像していきます。
もしできるのであれば、その日の面会が終わったときに、あなたはこれからどのようなことをして行こうと思っている、とご家族の方に提案できれば、それはご家族にとってもあなたを信頼するきっかけとなります。
なぜなら、子どもがあなたを煙たがっている以上に、ご家族はあなたがどんな人か知りたがっています。そんなときに、あなたが親に何ができるのかしっかり示すことができると、親も安心しますし、次回何が必要なのか、買い足すものがあればそれをそろえることも可能です。
私はトレーニングを受けているのではじめの面接である程度の見通しを立てることができますが、そうでない人は、自閉症ドットコム指導マニュアルに見本を載せましたので、参考にしてみてください。
私が玲子さんに実際にお会いしたのは、2回。
共通の知り合いであるブランディング・コーチの高畠真由美さんの紹介でした。
http://plaza.rakuten.co.jp/takahata/
私は本と情報のアクセシビリティをテーマとしている研究職で自閉症スペクトラムのことにも興味を持っていたので、そのあたりの共通性から2人をつなげてくれたのでした。
彼女が日本に帰ってくるのは長期休暇の間だけなので、もっぱらメールで話すことが多いのだけど、 2回会っただけで、今度は私がいつかボストンの彼女に会いにいこうと心に決めるまでになりました。
今の生活のことや専門のことだけでなくて、今後どうやって生きていくのかといったビジョンのことも自然と話せる友人であると思っています。
さて、自閉症.comを一読した印象ですが、とにかく渾身の力作だなという感想をまず持ちました。
彼女がセラピストになった背景について、通常すると思われる自己紹介よりもさらに奥まで書いているので、彼女の仕事への思いの根底の部分が見えて、深みと説得力を感じます。
学生の頃のボランティアで出会った自閉症の女の子とのコミュニケーションがなかなかうまく行かず、それでも話しかけ続けていたら、通じたという素直な喜び。
彼女は、それを「魔法にかかりました」と書いています。ライフワークに出会う瞬間は、こんな気持ちになるのでしょうか。
そして、語りはさらに過去にさかのぼり、かつては自身がコミュニケーションに課題を抱えていて、その課題に向き合って生きてきたことまで書いています。
このエピソードは、このサイトの文章を読んではじめて知りました。
ここまでの自己開示をしたことに勇気と決意を感じました。
このサイトの文章を読んで、
「ライフワークを決めるのは、強みだけではなくて、その周辺にある弱みなんじゃないか」
という言葉が浮かびました。
その仕事が自分の中で他のどれとも違うものになるにはただ無邪気に好きなだけじゃなく、
その底に、つらさや悲しさを経験してもやめないで続けさせる強力な何かがあるんだと思ったのです。
それがあるからこそ、他の仕事ではなく今の仕事を選んだというような取り替えのきかないものがあるんだと思いました。
彼女は、そういった心意気でセラピーをしている方なので、今まで得た知識や経験を最大限に生かしたサポートで自閉症児の言葉を伸ばすことに尽力するにちがいありません。
ブログ「本と情報のアクセシビリティを目指して」
管理人
DAISY☆やまねこ
http://plaza.rakuten.co.jp/yamanekopenguin/
「初めてだったので、息子がちゃんとできるのかどうか心配でしたが、先生に見ていただいて、こんなやり方があると知ってよかったです。これからちょっと頑張ってみようと思います。」
匿名希望 横浜市
「先生に見ていただいて本当によかったです。
どこがどう、足りないのか、親ならなんとなくわかっていたのですが、センターの先生に相談しても後回しにされるだけで、どうしていいのかわからなくなっていました。
玲子先生にセラピーをしていただいて、それがはっきりわかり、こんなやり方があるのかと思ってびっくりしました。本当によかったです」
匿名希望 横浜市
「 昨日はブログで時々アドバイスをいただいていた 塩田玲子先生 にお会いしに私とダンナとピヨちゃんとウズラで品川プリンスホテルまで車で行った。
先生は日本とアメリカの大学で障害児について勉強して、現在はボストン在住でアメリカの自閉症児のセラピストをなさっている自閉症のスペシャリスト。
7月末から1ヶ月程、日本に帰ってきていらっしゃるので、日本でのセラピーなどの合間に少しだけお会いしていただいた。
塩田先生は単身アメリカに渡り、国際結婚をしている方なので大柄ですごく迫力のある方を想像していたら、実際はわりと小柄で若くてかわいらしい一見普通のOLさんみたいだった。
でも話してみると、落ち着いていて、話し方もしっかりして頭の良さが感じられた。
私達はピヨちゃんが外にばかり行きたがることを一番に相談したのだが、先生はすぐに要求を通すのではなく、何かこちらの言うことや決まりを聞いてから外に連れていくようにしたらということだった。
例えば10分でも絵カードや教材をやって終わったら外に行っていいとか、決まりを作って徐々に外に行く時間を減らすようにしていくのがいいみたいだ。
家での指導もなるべく母親より父親とか、外部の他の人にやってもらったほうがいいそうだ。
東京などでは自閉症児の指導をしてくれる私立の専門的な組織があるけど、千葉の方は全くそういったものがないので、学生の家庭教師のアルバイトを雇う方法もあるそうだ。
ピヨちゃんは何も習い事などをしてないし、週に1回でも継続して専門的な指導をやってもらったほうがいいと思うので前向きに検討したい。
時間が1時間しかなかったのと、ピヨちゃんもじたばたしていて、ウズラも「まだ終わらないの?早く遊びに行こうよ」とうるさくてちゃんと話が聞けなかったが、先生に会ってもっと真剣に息子のことを考えていかなければと思わされた。」
ピヨちゃん日記より
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